課長side。

8/13
前へ
/190ページ
次へ
『アハハッ…外すの嫌だ~』 数珠を取ろうとしたら 爽太君は、逃げ出すように向こうに 行ってしまった。あ、こら!? 「こら、爽太君。逃げるんじゃない!? それを返しなさい」 慌てて追いかける。だが 大はしゃぎして止まろうとしない。 子供だから足が速いし!! 必死に追いかけて何とか爽太君を捕まえた。 「こら、爽太君。逃げたらダメだろ!?」 『アハハッ…捕まっちゃった』 キャッキャッとはしゃぎだす爽太君。 完全に面白がっているし…。 幽霊だとしても遊びたい盛りの5歳児だから 仕方がないといえば仕方がない。 俺は、苦笑いしながら右手で抱きかかえた。 「捕まえてきたぞ。まったく…」 「いやああ~何か連れて来ないで下さいよ!?」 連れて戻るとまどかは、 涙目になりながら訴えてきた。 うん? 俺は、きょとんとした。 どうやら怖がらせてしまったらしい。 これは、困ったな。 結局しばらく落ち着くまで待ってから 話を聞くことに。 数珠は、爽太君が居るのを確かめたいから そのままにして欲しいと奥さんから言われたので その子の首にかけたままにした。 仏壇に手を合わせた。 線香を添えて…爽太君と話をした。 意識を集中すれば、心の中を通して話しも出来る。 『あのね、あのね。 僕ね。お兄ちゃんになるんだよ! ママのお腹に弟が居るんだよ』
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2684人が本棚に入れています
本棚に追加