課長side。

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「どうやら…あなたのお腹には、 新しい生命が宿っていると伝えたかったのでしょう。 そうですね。近々その前兆が現れるでしょう」 奥さんは、それを聞くとさらに涙を流していた。 爽太君。聞いてるか? ちゃんと約束を果たしたぞ。 「あの…ありがとうございました。 色々と…お世話になってしまって」 帰り際に奥さんは、頭を下げて感謝してきた。 やっと自分の気持ちに整理がついたのだろう。 顔色を見るとスッキリした気持ちになっていた。 「いいえ。住職として 当たり前の事をしたまでですよ。 あなたにご冥福と今後の幸せをお祈り致します」 手を合わせてお辞儀をすると 「あの…今度新しい生命保険のパンフレットを 持って来て下さい」と言ってきた。 「おや。いいのですか? パンフレットをお持ちしても?」 「えぇ、住職様が居る会社なら 安心して任せられるわ。 それに新しい命が産まれるなら その準備をしなくちゃあ…この子のためにも」 そう言った奥さんの顔は、笑顔になっていた。 どうやら爽太君は、母親の笑顔を守ったようだ。 きっと抱えていたシコリが取れて 吹っ切る事が出来たのだろう。 「ありがとうございました。 今度いいパンフレットをお持ち致します」 もう一度頭を下げてその場を後にした。 良かったはずなのに何だか切ない気持ちなのは、 成仏させたのが幼い子供だったからだろう。
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