本章

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今からちょうど一年前、私は中原中也や太宰治などの日本の作家小説家から、アルバート・カミュにジョージ・オーウェルなどの世界の作家に感化されて小説を書き始めた。別段ライトノベル賞や芥川賞を目指していたわけではないが、ただ自分の思想や考えのはけ口に、「書く」という手段が非常に有効であったからであり、飽き性の私がこうして「書き綴る」ことをやめなかったのは、心底書くことを「楽しい」と感じていたからだと思う。 だから私の書く話は、たとえ空想の中であろうとも、登場人物に自分を重ね、自らの人間性を省みる一種「自己啓発」として精進しているのだが、去年から異国の地で生活をしており、日本に居た時と比べ、作風やら手法やらが二転三転していることを最近発見した。 それは「異邦人」としての喜びやさみしさ、そして過去との対面などがその原因として考えられるわけだが、兎にも角にも、ほとんどの作品は「私」を主体として書いてきたことを、この場で告白する。 さて、なぜこのような、読者にはなんの得にもならないコンフェッションをしたかというと、今まで「ナァナァ」と生きていたような私にも、「夢」ができたからである。     
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