誰かの為に生きる幸せ

1/4
前へ
/156ページ
次へ

誰かの為に生きる幸せ

昔の俺は偽りの台詞を淡々と、ばら撒いて適当に生きてきた。 それが俺にあったスタイルで、そうするしか出来なかった。 大抵の女は喜ぶし俺も稼げて、一石二鳥だと利口に毎日を過ごしてたつもりだ。 でも今は偽りの言葉なんかじゃない…ってこと。 こんなに一つ一つの言葉が温かくて大切なことなんて、昔の俺じゃ想像もつかないだろうな。 「俺辞める、今日で。」 「え、ちょ…冗談だろー?」 レジで指名一覧のメモを確認している大ちゃんに、辞めることを告げると一瞬驚いた顔をする。 でもまたすぐにおどけた笑顔になると、再び指名が書かれた紙に視線を移し、俺の言葉を信じていないようだった。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加