悪魔と渡り鳥が憂鬱に囚われた刻

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悪魔と渡り鳥が憂鬱に囚われた刻

何と忌々しい鳥だろう。 あれから、毎日飛んで来る。 歌を歌ったり、ラッパを吹いたり、 実に喧しく迷惑千万だ! いっその事氷漬けにでもしてやろうかと思いはしたが、 ここにずっといられるのは一番迷惑だ。 鳥族はそう簡単に死なないから厄介だ。 人族は簡単に死に過ぎなんだとふと思った。 消えかけた記憶の中の姫は満面の笑み。 ずっと見ていたいと思った。 有り余る刻の中この塔にいる事も余興に過ぎない。 だが邪魔されるのは、腹立たしい。 己が決めた事を他人に妨害されるなど、 悪魔である我には耐えられない。 その筈なのに、渡り鳥が来るのを待っている自分がいる。 矛盾だらけのこの感覚に覚えがあったが無視する。 姫以外の者を心に住まわす訳にはいかない。
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