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「隼人さんってどうしてそこまでやるんですか?仕事でもないのに」
ビールに口をつけながら隼人さんが僕を見下ろす。
目が合い僕はドキッとして思わず逸らしてしまった。隼人さんは自分が喋るときに人とあまり目を合わせないからだ。
「仕事じゃないから気楽でいいんだよ」
「お金にもならないのに?」
「まあ、単純にあの店のマスターに世話になってるし、お前がジャズ弾いてるとこも見てみてえしな」
隼人さんがビールを片手に弱く笑う。
その顔を見ると僕は胃のあたりから締め付けられるように苦しくなる。表情を歪ませないように気を張る。
右側の鎖骨あたりがむず痒い。
変な気持ちに対抗するように風呂場へと向かった。
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