大嫌いなバレンタイン

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 私はバレンタインが嫌いだ、大嫌いと言っても過言ではない。高校二年の冬、それを誰にも言えないままで、もう二月になろうとしている。まったくもって憂鬱だ。学校に向かう足取りも、じわじわと重たくなってくる。電車に揺られる体が軋んでいるような気さえしてくるから、厄介だ。  二月になってしまえば、いや、既にもうそんな話があちらこちらで話されている。いくら地域で有数の進学校とは言え、こういった浮足立つようなイベントにはみんな目がないのだ。座る座席がとっくに埋まっている電車の中でも、女子高生がそんな話をしているのが耳に入る。別に参加したいしたくない、或いはできないに関わらず、殆ど誰もが話題にだけは触れてしまう。そういうところも、私がこの外来のイベントを嫌いな原因でもあるのかもしれない。  けれど、そんなものは所詮後付けの原因であって、私は主に作る側で参加するのだから、そこに文句をつける必要性は無いだろう。参加できない人もいるのだろうが、私はあげる側で、同時に貰う側でもあるのだから。所謂友チョコというやつだが、参加している事には変わりないし。  だからそれは大きな原因ではないのだ。根本の原因を、私は知っている。
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