プロローグ

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 さらりと流れるストレートロングの、純日本人らしい艶のある黒髪。  水分が多く含まれているのか輝いて見える大きな黒い瞳と、整ったかわいらしい唇。 「本当に宜しいのでしょうか? 新型もおりますし、バグなのかなんなのかわかりませんが、なにも表情を作ることができなくなったこいつでなくとも」 「…………」  ゆるりと首を振った美しい女性(ひと)に微笑まれ、スクラップ寸前であった旧型介護用アンドロイドの男性機である(ひびき)は人間のような動きでまばたきを繰り返した。 「では、サインをここに」  流麗な文字を書いたそのひとにお辞儀をされた彼は、白衣をまとった中年の開発者に背中を押され、本日より主人となったその女性の前によろけ出る。  すると手を引かれ、彼はあたたかな腕の中に包まれた。  ――コノヒトハ、ドウシテ役立タズノ僕ナンカヲ。  こうして、旧型介護用ロボットとして作られたプロトタイプの『Android type―01:響』と、天涯孤独のお金持ちである(ひいらぎ)ひなの物語が始まった。
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