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『女の直感』というやつは本当にあるのだと、生まれて初めて知った。
大人数の集合写真。
隣になったのは偶然かもしれない。
女の子だって、他にもたくさん写ってる。
でも。
夫の隣に立つ女の子。
その笑顔と夫の笑顔が、同じ色に見えたから。
「そっか…」
ぽつりと、意識する前に呟きが漏れる。
いろんな事が、すとんと胸に落ちてきた。
最近、なんとなく帰りが遅かった。
閉店時間が決まっているとはいえ、お客様重視の接客業だから。
お客さんの都合で帰宅が遅くなる事はある。
それに棚卸だとか、在庫管理だとか、シーズンに応じてやらなきゃならない事もある。
だから単純に忙しいのだと呑気に考えていたけれど、それでも以前はもう少し早くに帰ってきてた気がする。
残業の回数だって、明らかに増えた。
「もう少しオシャレしたら?お客さんに会うんだし」
無頓着な夫は、寝癖があっても気にしなかった。
私が直さなければ平気でそのまま出勤していたのに、それがいつの間にか自分で整えるようになっていた。
意識が変わったんだ、喜ばしい事だと、そう思っていたけれど真実は違っていた。
それも、これも、すべては。
「この子のため…か…」
声に出すんじゃなかった。
震える自分の声を聞いたことで、自分がどれだけショックを受けているかに気付いてしまった。
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