第一章 妻の決意

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『女の直感』というやつは本当にあるのだと、生まれて初めて知った。 大人数の集合写真。 隣になったのは偶然かもしれない。 女の子だって、他にもたくさん写ってる。 でも。 夫の隣に立つ女の子。 その笑顔と夫の笑顔が、同じ色に見えたから。 「そっか…」 ぽつりと、意識する前に呟きが漏れる。 いろんな事が、すとんと胸に落ちてきた。 最近、なんとなく帰りが遅かった。 閉店時間が決まっているとはいえ、お客様重視の接客業だから。 お客さんの都合で帰宅が遅くなる事はある。 それに棚卸だとか、在庫管理だとか、シーズンに応じてやらなきゃならない事もある。 だから単純に忙しいのだと呑気に考えていたけれど、それでも以前はもう少し早くに帰ってきてた気がする。 残業の回数だって、明らかに増えた。 「もう少しオシャレしたら?お客さんに会うんだし」 無頓着な夫は、寝癖があっても気にしなかった。 私が直さなければ平気でそのまま出勤していたのに、それがいつの間にか自分で整えるようになっていた。 意識が変わったんだ、喜ばしい事だと、そう思っていたけれど真実は違っていた。 それも、これも、すべては。 「この子のため…か…」 声に出すんじゃなかった。 震える自分の声を聞いたことで、自分がどれだけショックを受けているかに気付いてしまった。
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