第四章 夫婦の真相

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「彩夏さんって、その、何て言うか、凄いですよね」 「え?何が?」 「なんか…心が広いって言うか、器が大きい、って言うか…ウチは絶対に無理ですもん」 一体何の話かと思ったら、美緒さんは彼氏にすぐ怒ってしまうらしい。 自分と一緒にいるのにスマホを見たり、髪型やメイクの変化に気付いてもらえなかったり、記念日を忘れられたりしただけで。 勇二さんから話を聞いて、私がそれらを全て許すと聞いて不思議に思っていたらしい。 っていうか、勇二さん。 そんな風に、私の事を職場で話してくれてるんだ。 なんだか嬉しくて、くすぐったい。 勇二さんを見たら、照れたようにふいと視線を逸らされた。 「なんで、怒らないでいられるんですか?」 美緒さんにそう聞かれて、考えてみる。 多分、許しているのではなくて、そもそも気にしていない…いや、気にならないんだと思う。 でも、前からそうだったのかと聞かれたら、答えは否で。 以前は…例えば智則と付き合っていた頃は、私も美緒さんと同じように彼氏に腹を立てていた。 だから私が寛容な訳じゃない。 もし、そう見えるのだとしたら、それはきっと…。 「勇二さんから、いつもそれ以上のものを貰ってるからかなぁ」 自然と出てきた答えを聞いた美緒さんに、また「凄い」と褒められて。 それが、なんだかとても嬉しかった。
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