第二章 宇宙の招待

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 それほど面白い本なのだろうか? 薫は瑛太の手元を覗き込む。瑛太は少し鬱陶しそうにしながらも、表紙を見せてくれる。 「日本書紀の解説?」 「うん。さっき境内で言ってたろ。居心地がいいとか悪いとか。そのあたりからのアプローチもありかと思ったから」 「なるほど……」  だけどそうなると、どんどん調べなければならない神社が増えるのではと心配になる。調べれば調べるほど、絞られると思ったのに、今のところ逆を行っている気がするからだ。  瑛太はそんな薫の気持ちを察したのか、言った。 「回り道に見えるだろ? だけど、俺、これでも最短ルートで解決したいと思ってる」 「最短?」 「時間も金もないから闇雲に神社巡るわけに行かないけど、行った神社では少しずつでも手がかりを集めたいんだよ。次の足がかりになる考察の材料は集めておきたい。今回、空振りに終わったように思えるかもしれないけど、菅原道真公――天神は違うってわかったし、別のヒントも得られた」
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