第二章 宇宙の招待

50/50
504人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
「空き地の件? あれ、ヒントって言えるのかな」  あれは進む道がわからなくなるような手がかりだったと思う。いっそ見なかったことにしたいくらいだ。  だが、瑛太は「ないよりは絶対あったほうがいい」と言った。 「今のところわかっているのは、天照大神になんらかの関わりのある神の可能性が高いっていうこと。ただ、俺が天照大神には近づけないから、周辺から探りを入れていくしかない」  薫は頷く。そこまではわかる。 「でも、関わりがあったら一緒に祀ってあることが多いよね? 八坂神社でも天照大神が祀ってあったし、近しい神さまなら天照大神も一緒に祀ってあるものじゃないの?」  八坂神社で瑛太が気分が悪くなったことを思い出す。あのときは、神社の境内に、天照大神を祀った大神宮社があったのだ。苦しそうだったし、あんな目にはもう遭わせたくないと思う。 「いいや、そうとも言いきれない。で、俺、周辺から探りを入れるのに最善の神社があるなって、昨日おまえのばあちゃんの話を聞いて思った」 「おばあちゃん?」  祖母が何か言っただろうかと考え込んだ薫の耳に、つい昨日聞いたばかりの神社の名前が飛び込んできた。 「だから、明日は行こう。――宗像大社――天照大神の娘が祀られている場所へ」
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!