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「まあ、俺は別にいいんだけどさ。陸兄みたいにガッチガチにガードするつもりもないし、っていうか、瑛太が本当に弟になればいいって、ずっと思ってるくらいだし」
宇宙は面白そうに瑛太の反論を待っていた。だが瑛太が何も言えずにいると、少しだけ重い声で言い聞かせる。
「だからこそ、順番は間違えるなよー? 取り返しつかねーぞ?」
「……」
瑛太は結局言い訳の一つも言えなかった。
カミサマのせいだ――そう信じたかったけれど、夢うつつの瑛太には、自分が操られていたという確証は持てない。外から観察されてはじめて、自分の意志ではない行動をしていたと知ることができるのだ。
そんな自覚があるからこそ、カミサマのことを宇宙に話す事はできなかった。
理系だが、ロマンティストな、なにより瑛太のことをよく知っている宇宙ならばきっと信じてくれるだろう。
だけど、今の段階で打ち明ければ、それはまるで言い訳だ。
不埒な真似は人ならざるもののせいだ。自分のせいではないと否定するほど浅ましくなるくらいなら、魔が差したと認めたほうがまだいいと思った。
カミサマがやったのであろうとなかろうと、結局やめられなかったというのは、そういうことなのだろうと思ったのだ。
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