第一章 高校生の義務

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「お父さん、のほうかなあ」  薫は瑛太の父親のことを考える。やはり穏やかで優しそうな瑛太の父親は、二ノ宮神社をつがず、サラリーマンをしている。 「大学教授なんでしょ。親譲りだよね。頭いいの」  佳子は情報通だ。薫は頷く。ただそれは、瑛太はあまり知られたがらないことだった。  親譲り、そう言われるのを嫌っているのだ。  お父さんが学者さんだから瑛太が頭がいいのも当たり前。そう言われるのが嫌なのだ。  なんとなくわかる気もする。瑛太は努力している。いくら努力してもそれが認められないのはかわいそうだ。「いくら頑張っても褒められない」と落ち込んでいた瑛太を思い出す。 「瑛太はちゃんと勉強してるから成績いいんだよ――あぁ、だからやっぱ邪魔したらまずい……か」  毎週末、瑛太と出かけるのは随分と楽しかったから、しょんぼりする。
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