本当の気持ち

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うちの駅の近くに猫カフェがある。 民家を改築したお店だからパッと見だと通り過ぎてしまいそうなんだけど。 住宅地の隅にひっそりと建っているんだ。 学校帰りのある日ふと見ると ─こたつ始めました─と引き戸に張り紙がしてある。 学校に着くと早速親友のあんちゃんに教えてあげた。 「え?こたつ?」 「うん、そうなんだ。紙が引き戸にはってあったの。」 「へぇーいいねぇー」あんちゃんはそう言いながら椅子の上であぐらをかいている。 黙ってれば美少女なのに本人はまるで自覚がなくオッサンみたいだ。 だから名前だって杏奈なのに皆あんちゃんって呼ぶんだよね。 私は彼女のそんなところも大好きなんだ。 「スカートめくれるよ」でも一応注意をしてみる。 「じゃあさ、明日用事なかったら行こうよ、猫カフェ。」おいおい知らん顔かい! 「いいけどぉー」一応もったいぶってみるけど私もすごく行きたい。 「じゃ決まり!」あんちゃんも笑う。 土曜日。 駅で待ち合わせた。 「可愛いじゃん!」 「そっちこそ!」 互いに誉め合う。 この前2人共気に入って買った色違いのパーカーなんだけどね。 「くぅー楽しみ!」あんちゃんが歩きながら身をよじる。 通りすがりに知らないお兄さんがチラリと見ていく。 あんちゃんは全く気にしない。 私は笑いを噛み殺した。 玄関に入るといつものお姉さんが出迎えてくれた。 「いらっしゃいませ」 「こんにちは!こたつが入ったんですか?」あんちゃんがハフハフしながら言った。 「そうなんですよー 楽しみにしててね。いいですよー。」 とお姉さんも負けじとニッコリした。 12時から入れるとの事だったので近くのスーパーのフードコートでお好み焼きを食べて本屋さんで時間をつぶしてから 時間が来たので急いでお店に行った。 私のお気に入りのコは2階にいるマロンちゃんだ。 あんちゃんはミケちゃん推しだ。 階段を上がって襖を開ける。 部屋を見ると 「うわあー」白い天板のこたつが4つ並んでいる。 私達は一番窓際に案内された。 こたつのカバーはマロンと同じように薄茶色だ。オーダーを終えて私がこたつで足を入れようとすると中から「にゃーん」と声がした。 「やーん、マロンちゃんー一緒に入ろうー」デレデレになる自分が止められない。 あんちゃんはというとキャットタワーの上にいるミケちゃんをスマホで激写してる。
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