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雪が降っていた。 静かに静かに。柔らかな雪はただただ降り積もる。 傘を持たない私の肩にも雪は落ちては消えを繰り返し、なのにいつのまにか少し積もっていた。 「どうりで寒いはず、だよ」 私はかじかむ手に息を吹きかけ、そして。 「ふ、ふえ」 今までこらえていた涙を流した。 こんなに寒い雪の夜だからこそ、二人で暖かい部屋でシチューを食べて、借りたブルーレイでも見ようと思っていたのに。なんで私は一人雪の中を歩いているんだろう。
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