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確かに喧嘩が増えていた。付き合って三年。お互いが見えてきて、自分を見せられるようになって、遠慮がなくなって。でも、喧嘩する度お互いの理解がさらに深まる気がして、私は気にしていなかった。仲直りができるのだから大丈夫、と。 仕事の帰りに祐也の住むアパートに寄って、 「シチュー作るから待ってて」 と買い物した袋から野菜を出して、切り始めたところだった。 「彩乃。あのさ、シチューはいいから」 祐也の言葉に私は、 「シチュー、嫌だった?」 と見当違いな言葉を返して、祐也の方を振り返った。祐也は私を見ていなかった。手にした雑誌をパラパラと読んでいるのかいないのかわからない感じでめくっていた。そしてそのまま言った。 「俺たち、別れようか」 あまりに唐突に、まるで「ご飯食べようか」と言うように言われて私は理解が出来なかった。 「え? 何?」 祐也はここでやっと私を見た。 「別れようか」
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