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「え……。なんで?」 私はおかしくもないのに中途半端な笑みを浮かべて祐也に問う。 「最近会っても喧嘩ばかり。なんか、恋人って言う雰囲気じゃないよな」 「そんな……! でも、仲直りするじゃん! 理解も進むよ?」 「理解……。俺たちは合わないっていう理解か?」 私はバケツで水をかけられたような気がした。祐也と私の決定的な違いが見えた気がした。 「違う、よ……。お互いの性格の理解、だよ……」 もう何を言っても無駄なのはどこかで分かっていたが、口から言葉がこぼれた。 「俺、もう疲れたよ。……別れてくれ」 私はその場にへたり込んだ。作りかけのシチューはどうするのかな、なんてどうでもいいことを考えた。涙が浮かんだけれど、流さないように上を向いた。もう、終わったんだな、と実感はわかないけれどぼんやりと思った。 「私は祐也との時間、楽しかったよ。今までありがとう」 玄関のドアを開く前に私が言うと、祐也は私の方を一度見て、下を向いた。 「……ごめんな」 祐也の蚊の鳴くような声が聞こえた気がした。何にごめんなんだろう。別れることに? 謝るくらいなら別れないで欲しかったよ。 「じゃあ、元気でね」 私は言って、ドアを開けた。 雪が降っていた。
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