つけるかつけないか

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「は?つけて欲しいのは、こたつなんだけど」 「あ、そうなの?」 接着剤をつけまつげにつけ直す前に、私はこたつの電源を確認した。 手元のこたつスイッチは、ちゃんとついている。コンセントが抜けているのだろうか。 「ついてるけど」 顔を上げた私の目の前に零士の顔があった。 「うわっ、なに?」 「つけない方がいい」 「え?今つけろって言ったじゃん。どっちよ」 「両方つけなくていいよ。ほら、もういくぞ。待ちくたびれた」 こたつから出て、零士はおもむろに私の二の腕を掴んで立ち上がらせようとする。 「だって、リップもまだだよ」 「いーよ、どうせキスしたらとれちゃうんだから、つけなくて」 何か急に大胆発言があった。 ふーん、つけなくていいんだ? ツケマも、こたつも、ついでにリップも。 私と零士は、コートを羽織り玄関で靴を履いた。 「なあ、今日は何食べる?」 幼なじみだった零士とデートするのは、今日が二回目だ。 先に靴を履いた零士が振り返って手を伸ばしてきた。 「ほら、手」 繋いだら零士の手は、こたつよりもあたたかいのかなぁって思いながら手を伸ばした。 おしまい
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