凍結世界

2/6
前へ
/6ページ
次へ
『どなたか、固まっていない人はいませんか? DMでもリプでもいいので連絡ください!』そんなツイートを見つけて、真は安堵する。そして、急いで連絡を取り、奇跡的にその人も秋葉原にいて会うことができた。 「これは、いったいなんなんだろうか」  外見は四から五〇歳のサラリーマン、俗にいう中年男性だった。 「わかりません。とにかく、今は僕らと同じく動ける人たちを探しましょう」  探した。ツイッターやフェイスブック、ヤフー知恵袋など使えそうなものは使う。そして、また数人と会うことができた。  真面目そうな女子高校生、気弱な一一歳の少年、真と同じくらいの二〇代後半のバーテンダー。  そのバーテンダーが経営しているバーに集まった。 「俺らはどうなってしまうんだ?」  バーテンダーは少し不機嫌そうに言う。それに次いで女子高校生も言った。誰に言ったわけではないだろう。混乱する状況に対してのただの叫びだ。 「いったい、どうなっているんでしょうか」 「もう……このまま、一生……なのかな」  中年男性のサラリーマンはアハハと自嘲するようにつぶやいた。 「……俺、いいこと思いついた! この世界には誰もいないに等しい。なら、なにをしても罪に問われない。金を盗もうとも淫乱な行為に及ぼうとも」  バーテンダーは発狂して、外へ出て行く。  その場にいた全員が絶句した。真は慌てて呼び止める。 「待ってください! それはよくありません!」     
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加