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「そんなこと、していいわけないです! 落ち着いてください! 絶対に戻す方法はあるはずですから!」
「ごめんよ……」
サラリーマンはナイフを振りかざす。真は恐怖心から、硬直する。
さらに血だらけになった女子高校生と凍結されたサラリーマン。真の鼻腔には赤ワインと血なまぐさい匂いが入り込んでくる。
「……っ」
声も出ない。もう生きているのは真、一人だけなのだ。
――そして、けたたましくアラームが鳴る。
真は半開きの目でスマホを探して、止めた。
「夢、か……」
だから、あんなに冷静でいられたのか。
しかし、夢にしてはリアルだった。今も血なまぐさい。昨日飲んだ赤ワインの匂いが口からする。
「……今夜はクリスマスか。あとは――」
今夜は恋人と会う予定がある。
そして、恋人を殺す。
部屋にはもう四人の死体がある。
一人は女子高校生。そこらへんにいたのを捕まえ、レイプして殺した。
一人はサラリーマン。真の父親だ。レイプしたことがばれて、自分の女子高校生が横取りされるかと思い、殺した。
一人はバーテンダー。親友。殺しに満足して、誰かに見せたくて仕様がなかった。死体が増えると思い、親友に見せてから殺した。
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