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ツェツェバエ
部屋は闇に佇んでいた。
「先生ってサシガメみたいですよね?」
瀧山の声がしたような気がして中山は背後を振り返った。
誰もいない。
山下公園近くにあるビジネスホテル。
「それはどういうことだ?亀なんて酷いじゃないか?」
「サシガメってのはカメムシの仲間ですよ?カメムシは潰すと臭い緑色の害虫。サシガメは田畑に生息してまして、害虫を駆除するって理由で益虫扱いされてるんですけどね?毒を持ってるんですよ?人間を刺すこともあって、毒性は蜜蜂以上です」
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