バレンタインデー当日。

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「今日の仕事はこれで終わりと……お先に失礼しますね。」 「僕と郡山はまだ残ります。お疲れ様でした」 やっと終わったと席を立ち、俺ら三人は生徒会室を出る。 綾と一緒に教室に向う途中、西園寺さんが 「直樹さんは貰ってないとして……綾さんは、チョコはもうプレゼントしましたか?」さりげなく残酷なことを言う。 「いいえ、まだですよ。いつも通りにしようと思って」 「そうですか……私も今日こそ……放課後、絶対にあの人に…… では、お先に失礼しますね。」 二人の会話を無視して、溜息をしながら歩き続ける。ちょっと待ってよと、綾が俺と一緒に図書室に入った。 ――三時半頃。教室で忘れ物はないかと、確認しながら帰り支度をする。 教科書、ユニフォームやスパイクもバッチリある。 鞄を右手で持ち、帰ろうとした瞬間。 「ない!!私のチョコがない!?どこに行ったの……」ボブの髪型で眼鏡をかけた女子が、顔面蒼白で赤い袋を持ちながら大声で言う。 「どうしたの、多場さん?」 「私のチョコを見ていませんか?」 「今持ってる、それじゃないのか?」 「ち、違います。袋は一緒なんですが……これの中身はケーキで、持参したのはタルトなんです」 どうやら誰かが勘違いをして、多場さんの袋を持っていったみたいだ。  「どこに置いてたの?自分の机?」 「ロッカーの上です。放課後に渡そうと思って、鞄から取り出して教室を出ようしたら先生に呼び止められまして……見つからないように、慌ててロッカーの上に置いて、用事が済んで戻ってきて……確認してみたら、中身が入れ替わってたんです」 「じゃあ、誰が持っていったんだろうね?多場さんのことが好きな人とか?」 「いいえ、朝からずっと鞄の中に置いていたので、誰にも見せていません」  俺達は一旦教室を出て、その時間帯にいたクラスメイトを探しまわった。  だが、ほとんどが帰宅しており、中々見つからなかったが、校門に帰宅途中のA組の男子生徒を見つけた。
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