バレンタインデー当日。

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「なに?」   「教室に誰か来たか、知らないか?そしてこの袋と似たものを持っていかなかったか?」 「確か、三時二十分に体操服を取りに行ったら、野球部の田村が同じやつ、持っていったぜ」 「さんきゅ!」  すぐに運動場へ向かい、野球部が練習をしている最中に俺は田村の名を叫んだ。彼らはポカンとした顔をこちらに向けた。  話を聞くと、彼は椅子を持っていく途中、郡山さんから仕事が未だに終わっていないので、自分に替わりA組にある赤い袋を持ってきてくれと言われたそうだ。  二つあったがどちらかは分からず、生徒会室に行って渡そうとしたが、彼女は不在。やむを得ず、一階にあるB組の机に置いたそうだ。 「なぜ生徒会室に置かなかったんだ?」 「暑すぎたからだよ。あんな所に置いてたら、せっかくのチョコが台無しになってしまうからさ」 彼女は冷え性だから俺達が帰ったあと、生徒会室をさらに暖かくしたんだろう。田村にお礼をいい、B組へと走った。 「ないですね……」 「また誰が持っていったのか……?」 俺達は郡山さんの話を聞きに三階へ向かう。 生徒会室の扉を開けようとするが、鍵が閉じており、開かない。 すると図書室から佐藤が出てきた。 「忘れ物かい?」 「郡山さんは?」 「帰ったはずだよ。僕が鍵を閉めたから、間違いないかと」
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