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「待たせたな。少し、遅くなった。」
「いえいえ、私が待ちたいから、待っただけのことですよ。
その……お伝えしたいことが……」
西園寺さんがリオに、チョコを渡そうとしている。
俺は靴を脱ぎ捨て、体育館の扉をこじ開けた。
「そのプレゼント、待ったー!!」
声が体育館全体に響いた。
それに驚きながら、二人が呆気に取られて、顔をこちら側に向ける。
「ど、どうされました?何故、こちらに……」
西園寺さんが珍しく冷静を失い、動揺を
隠せず、顔がまるでりんご飴のように赤く染まる。
「その袋にはケーキではなく、タルトが入っている!実は3つあって、2人のが入れ替わってたんだよ。」
「え!?まさか、そんなはずは……あっ……」
「俺が気付いたのは、放課後。この言葉だったんだ。
俺達は三時半に帰宅準備をしていて、二十分には田村がA組に袋を取りに行き、B組に置いた。
その後、佐藤がB組に取りに行った。田村が持ってたものは郡山さんの袋だったんだ。
つまり、入れ替わっていたのは多場さんと西園寺さんの袋だったんだ。
二十分前には既にその袋を手にしていた……だよな?西園寺さん。」
「ご説明……します……」
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