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試合終了後、俺はグラウンドのベンチで、水筒の水を飲みながら周りを見渡す。
よくみれば、いや……ちゃんと見なくても、女子達が運動場に集まってるのが分かる。
染谷を目当てに五、六人くらい集まってる姿を毎日見ているが、今日はいつもより圧倒的に数が多い。
名札を見ると色が違うので、一年から三年までいる。
さらに、目を細めて確認してみると沢山の女子生徒が箱を持ってるじゃないか。
クリスマスプレゼント……いやいや、時期外れだ。そういや、カレンダーを見るのを忘れてた。今日何日だっけ?
練習が終わり、部室で制服に着替え直して、彼と一緒に外に出た。
その直後、黄色い声が何重にも響き渡った。
染谷くんとか先輩と非常に五月蝿い。
俺は女子の身体で出来た、分厚い壁の間を必死に潜り抜けた。
「なんの日だ!全く」と愚痴をこぼして教室に向かった。
「今日はバレンタインデーだからな」と背後から声がした。
振り返るとリオがいた。クールな性格で何処か大人びていて、顔は面長だが丸くもありバランスのいい形をしている。
所謂、イケメンだ。スラッとした体付きで、身長も180超えで俺より少し高く、それをバスケ部で活かしている。目は鋭くしっかり していてすみれのような紫色の瞳。
昔、アメリカから親の都合で、日本の小学校に転校してきてから俺の大親友だ。
「散々だったな? 染谷にチョコをプレゼントしたくて、うずうずしている女子達に囲まれて」
「全然、嬉しくない……綾が言ってたのはこれかよ……」
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