バレンタインデー当日。

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――三年A組。朝の会話から四時間目が終わり、昼休憩が始まった。皆一斉に、机を移動させて友達同士くっつけ、昼飯の準備を始める。俺らもいつも通り四人で机を合わせる。 「染谷くん、凄かったね!! 毎年、女の子達に沢山のチョコ貰ってるけど、今年はそれ以上じゃない?箱も色とりどりで盛りだくさんだね!!」 「いやいや、そんなことはないさ。嬉しいけど持って帰るのが、本当に大変で。」  鞄にチョコを詰めながら、サッカーのキーホルダーがゆらりと揺れる。  自虐風自慢に聞こえるが、確かに染谷は身長も高く、成績は上位で運動神経も抜群。さらに顔もよく、誰にでも人当たりがいいとくるからモテないはずがない。将来の夢はプロサッカー選手。有言実行はするタイプで夢は言われなくても、自分自身の手で達成しそうだ。 「二人も、俺に劣らず貰ったんだろ? 正直に話してみろよ」 「鞄から溢れ出てしまう程の量は…… 貰ってないな。数が少なくて、丁度いい。染谷、ちゃんと持って帰れるのか?」 「大丈夫さ、どうにかする。直樹は?」 「まだ……だっつーの……」 「もう、拗ねちゃって。」と綾が俺の頬をつつく。 「なんで二人はそんな簡単に貰えるんだ!?」 「サッカーの練習や勉強をちゃんとしている、日頃の行い?」 「それなら、既に実行中だ!!」 「偶然だろう。多少、運が良かっただけだ。後は女性に優しくするとか?」 「女生……女子生徒を略しているのか!?」 「女性だよ。誰がそんな略し方するか。二人があまりにも遅いから、今朝、おばあさんに道案内をしていたんだ」
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