雪~それは、幼い少年の想いと度重なる悔恨の念~

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アルコールが入り気分の良くなっていた4人は、当初直ぐに帰る予定であったのも忘れてしばらく宴を楽しみ笑いあう。 暖房の効いた室内では、寒さも感じず過ごしやすく上手い飯のある場で時間を気にする者もいなかった。 「そういえば、丸井。お前、あのときの事を覚えてるか?」 「……あのときって?」 隈のある男、朝倉(あさくら)恭一(きょういち)が丸井にニヤニヤした嫌な笑みを浮かべて話しかけた。 対する丸井はさっきまで楽しそうに話していた眉間を潜めて極めて不快そうに口を開く。 「あれだろ? 俺達が見つけた地蔵? みたいなやつ」 「金井(かない)!! あれは二度と話さないと決めただろ!」 金髪の男が朝倉を見ながら話した言葉に丸井が唾を吐き散らしながらテーブルを叩いた。 「もう10年以上も前の話だぞ? 何をそんなに怒ることがあるんだ」 額に傷のある白髪混じりの男、中森(なかもり)はテーブルを叩いた後に立ち上がった丸井を不思議そうな顔で見つめている。 丸井を見ると、暖房のせいではないだろう汗を額に浮かべている。 「決めただろ! あんな気持ち悪い……いや、この話は止めよう。気分が悪くなるんだ……」 「いや、あれも随分昔の記憶だからなぁ。俺達の見間違いじゃ……」 「中森!!」 堀机を挟んで反対側に座る中森の胸ぐらを丸井が掴んで引っ張る。 机の上に並べられていた食べかけの料理が散らばり、コップに注がれた酒と中身の入ったビール瓶が床へ落ちた。 ビール瓶から床へ広がる酒により辺りに微かなアルコールの臭いが漂い始める。 「い、いかがされましたか?」 部屋の外、それも少し離れた場所にいたのか、先ほど料理を運んできた女将であろう女性が息を切らしながら部屋へと入ってきた。 およそ、最初の丸井の怒鳴り声を聞いて走って部屋まできたのだろう。
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