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うなずいて、ウルバーノはヴィルジニアのからだを抱き寄せると、薄い肩に顔を埋めた。紅茶をこぼしてしまいそうで、ヴィルジニアは慌ててカップを持つ手をサイドテーブルへと伸ばした。
ウルバーノの逞しい腕が、細くくびれたヴィルジニアの腰をぎゅっと抱き締めた。
「正直言うと、恋だの愛だのなんてものは僕にはよくわからない。けど、嫌われたくないと思う程度には、きみのことが好きだから……」
「……嫌いになんて、なりませんわ」
出会ったときから変わらないヴィルジニアの答えを聞いて満足したのだろう。
ウルバーノはヴィルジニアを解放し、ほっそりとした白い腕を取った。傷付いたように顔を歪ませて、手首にのこる薄赤い傷痕を指の腹でそっと撫でる。微かに声を震わせて、彼はゆっくりと頭を垂れた。
「ごめん。酷いこと言って乱暴して、ほんとうにごめん」
「謝らないでください。わたくし、そんなこと気にしていませんわ」
夫の肩に触れてヴィルジニアが囁くと、ウルバーノは少し悲しそうに「ありがとう」と微笑んだ。
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