ほろ苦い

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大体好きになったら、必ず付き合えるか分からないし。 付き合ったって、結婚できるかも分からない。 恋なんて、そんなものだと思っている私は、こうしてチョコを買いにくる女の子達と比べると、暗いんだろうか。 そんな事を思いながらも時間は過ぎ、用意したチョコは見事完売した。 「うわ?これで、ぐっすり寝れる?」 私は、チョコが置いてあったテーブルに、ぐったりと横たわった。 「はい、これ。」 顔の横に置かれた箱を、よくよく見て見ると、それは完売したはずのチョコだと気付く。 「こ、これ!!」 思わず立ち上がると、おばちゃんが立っていた。 「私があんたに買っておいたの。」 おばちゃんが? 私に!? 思い余って、自分を指差す右手が震える。 「あんたにあげる為じゃないよ。」 「えっ?」 「ほら、この前の男の子。あの子にあげなさいよ。」 私は改めてチョコを見た。
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