50人が本棚に入れています
本棚に追加
雄太郎達は、廊下の一番端のテラスで、毎日お弁当を食べている。
おばちゃんに貰った、両思いチョコを持って近づく。
雄太郎は、ラッキーな事に、一番端に座っている。
よし。
ここはさりげなく誘い出して……
そう思って、テラスの扉に手をかけた時だ。
「雄太郎。例の女の子とはどうなった?」
同じ部活の子が聞いた。
「例の女の子?」
「ほら、違う学校の。」
「ああ、」
たぶん奈南さんの事だ。
なんだ。
雄太郎、部活の仲間にまで奈南さんの事、教えてるんだ。
「今日、バレンタインじゃん。その女の子からチョコ貰えんの?」
「ハハハ!」
雄太郎は高らかに笑った後、こう言った。
「まあね。」
目の前が暗くなる。
私はチョコを持ったまま、引き返した。
何、浮かれてんのさ。
おばちゃんに乗せられて。
雄太郎には、奈南さんがいるんじゃん。
忘れてたの?
最初のコメントを投稿しよう!