ほろ苦い

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辿り着いたのは、人影のない屋上。 取り出したのは、あのチョコ。 箱を開けて、中身を見た。 いろんなチョコが入っていて、楽しい。 うん。 これを貰ったら、男の子も楽しくなるよ。 雄太郎だって…… ぽつっとチョコの上に、水がかかる。 雨? 上を見たけど、雨なんて振ってない。 ああ、そうか。 これ、私の涙だ。 そのチョコを一つ、口の中に放り込んだ。 苦い。 ビターチョコじゃないのに、ほろ苦い。 おまけに、涙でちょっと塩辛い。 わけ分かんない味。 「……っグス。」 涙を拭くと、誰か隣に座った。 「そんなに不味いの?そのチョコ。」 「ゆ、雄太郎!!」 まさかの本人登場に、チョコを上着の中に隠す。 「えっ?何で隠すの?」 鈍感。 雄太郎にあげるはずのチョコ、私が食べてるからに決まってんじゃん。 「それ、バレンタインのチョコ?」 「……そう。」
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