ほろ苦い

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「あら。満更でもなさそうじゃない?」 満更どころか、彼の事、好きなのですよ。 おばさん。 「相手もその気ありそうだし。」 「そうですかね。」 「少なくても、私にはそう見えたわよ。」 おばさんに乗せられ、ちらっと雄太郎を見る。 その瞬間、心がヒヤッと固まった。 雄太郎の側に、同じ歳くらいの女の子。 胸の下辺りまてあるストレートヘア。 たぶん、奈南さんだ。 なんだ。 今日一緒だったんだ。 そう思った途端に、さっきのチョコレートの味が、ふわっと甦った。 苦い。 チョコレートも恋も。 「チョコレートって、どうすれば甘くなるんですかね。」 「えっ?チョコレート?」 急な質問に、パートのおばさんも、考え込む。 「そうねえ。ミルクでも入れたらいいんじゃないかね。」 「ミルクですか。」 そりゃあ甘くなりそうだけど、恋愛におけるミルクってなんなんだろう。
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