9人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
手術
私とカイはあの事件以来付き合いはじめた。
さっそくマキにからかわれたけれど、
そんなこと全然気にならないくらい。私たちは心の奥でつながっていたのだ。
それから数年。大学を卒業し、就職をしても二人は堅いきずなで結ばれていた。
就職して3年目にはカイからプロポーズをうけ、結婚。
すぐに可愛い女の子を授かった。
とても愛らしいその子は生まれながらに心臓を患っており、
何度も入退院を繰り返し、なかなか病院から外の世界にでることが出来なかったのだ。
私とカイはそんな娘を支えるため、身を粉にして働き、
ようやく大きな手術。
乗り越えれば、普通の生活ができるようになる治療を受けさせることができるところまできた。
「かな、明日は手術なのに大雪になりそうなの。
おかあさんはこのまま病院にお泊りするから、安心して眠りなさい。」
娘のかなは幼いながら、痛い治療にも必死に耐え、今まで6年間頑張って生きてきてくれたのだ。
「おかあさん。だいじょうぶよ。かなこわくない。」
けなげな娘の言葉に、私もカイも涙ぐんだ。
翌日は予報通りの大雪。
私とカイはただひたすら神様に祈った。
私たちにできることならなんでもします。どうか娘をお助けください。
最初のコメントを投稿しよう!