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ゆきうさぎ
長い長い時間が経過した。
途中、娘は心拍が停止して危険が状態にも陥ったけれど、
なんとか無事に手術をおえ、
病室のベットに移動して、面会も許された。
ぐっすりと眠る娘の胸には古ぼけた手袋が握られていた。
「あら、どうして手袋が?看護師さんがおいてくれたのかしら」
不思議に思っていると、かなが目をさました。
「おかあさん。おとおさん。お外を見て。」
目覚めて初めての言葉はそれだった。
不思議に思いながら、頑張った娘の願いをかなえるべく、私とカイは窓のそとをみて、ふるえた。
病院の隣には広いグラウンドがあって、そこにはたくさんのゆきが積もっていたのだが、
グラウンド中央に雪だるまと沢山のゆきうさぎがいたのだ。
「あれは・・・かな、あのうさぎとゆきだるまはどうしたの?」
「おねえちゃんとおにいちゃんに手伝ってもらって作ったの。
おとうさんがね、前に雪が降った時、かわいいゆきうさぎを作ってもってきてくれたから。
おかあさんが、元気になったら35人のお友達と先生と一緒に小学校でお勉強できるって教えてくれたから。
ゆきだるまとゆきうさぎで小学校をつくったのよ」
ちからなくむねに抱いていた手袋を差し出してかなはぽつりと言った。
「手袋ありがとう。おねえちゃん。」
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