あそぼう

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「ななちゃん、ゆきんこさんって知ってる?」 マキが休み時間に突然聞いてきたから、私は話しを遮るようにピシャリと言った。 「やだよ、マキはいつも怖い話ししかしないんだもん。聞きたくない。」 私はすごく怖がりで、反応が面白いからと、親友のマキに最近怪談話しばかり聞かされていてウンザリしていたのだ。 「あ、バレちゃった?だってななちゃんの怖がり方ホント面白いんだもん。」 カラカラ笑って答えるマキは怪談話しが大好きで、いつもどこから仕入れてくるのか色々なネタを拾ってくる。 「ゆきんこさん、ゆきんこさん、ゆきんこさん、あそぼう」 「わーわー、聞きたくなーい」 「大雪が降った深夜3時33分きっちりに校庭の真ん中に雪だるまを作ってそう呼びかけると、貴方の一番大切な人が現れるんだって。ただし」 「ほんとにやめて!怖いよ!」 半泣きの私を真っ直ぐに見つめながらマキは続ける 「ただしね、ゆきんこさんに会いたい人に合わせてもらったら、一番大切なものをあげないといけないんだって。」 「ええっ、あげなかったらどうなっちゃうの?」 私はつい気になって聞いてしまった。 するとマキはニヤリと笑って答えた。 「教えない!だって聞きたくないんでしょ。気になるなら試しにやってみたら?今日午後から大雪だし」 「おい、あんまりななのこといじめるなよ。夜一人でトイレ行けなくなったら可哀想だろ」 助け舟なのか、便乗してからかっているのか、幼馴染のカイが話しに割り込んできた。 「でもその話気になるな、なな、今日こっそり抜け出してやってみないか?今日の夜はおふくろ夜勤でいないから、ベランダから俺の部屋に来たらこっそりぬけだせるだろ?」 「ええっ、カイ本気?マキどうする?」 「私は遠慮しとくよ、寒いの苦手だし、お邪魔虫だし」 マキは怪談の他にカイと私のこともからかってくる。 「そんなんじゃないし」 「お邪魔虫ってどういう意味だよ」 私とカイの声がシンクロする。
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