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翌日、午前3時、私とカイは雪の夜の校庭に立っていた。
「どうして私がこんなこと。カイ一人で来たらよかったのに。」
「文句言うなよ、こういうのって一人でやっても意味ないんだよ。ちゃんと何かが起きたって証明してくれる立会人が必要なんだって。」
文句をいう私をなだめるようにカイが答える。
実はここに来るまで私は何度も逃げ出そうとしたが、その度カイに捕まって、思いのほか力の強いカイに半ば引きずられるような形でここまで来てしまったのだ。
「ほら、もう時間がないし、雪だるま作ろうぜ、せっかくだから大き目のにしとくか。」
「ええっ。こんな寒い中雪だるま作るの?私手袋持ってきてないんだけど。」
「仕方ないなあ、俺のかしてやるから、俺は胴体つくるから、ななは頭担当な。」
カイはつけていた手袋をぬぐと、私にほうってきた
私の手より一回り大きい手袋はほんのり暖かくて、私は文句を飲み込んで、雪だるまの頭を作り始めた。
雪はやんで雪原となった校庭は上った月に照らされて明るい。
時折吹く風で舞い上がった雪は宝石みたいに空中でキラキラと輝いている。
私はそれを見ながら、黙々と雪玉をころがしていった。
「できたぞ、ほら、ななの乗っけるからこっちに転がしててこいよ。」
「了解。今もっていくね。」
寒いし、夜の学校は怖いはずなのに、カイと二人子供のころに戻ったように雪だるまを作るのが楽しくてウキウキしていた。
「よいしょっと、これでよし、なな、心の準備はいいか?」
「ううん。全然できてないけど、ここまできたら引き返せないもんね。頑張るよ。」
時刻は3時33分。カイは自然に私の手を握ってからぎゅっと握ってくれた。
私はそれが心強くて、きゅっと握り返した。
「ゆきんこさん、ゆきんこさん、ゆきんこさん、あそぼう」
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