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シンと耳が痛くなるくらいの静寂。
私とカイはゆきんこさんの呪文を唱えると二人で顔を見合わせた。
(何もおきないね)そう言おうとした時だった。
突然の突風で周りの雪が舞い上がり、視界は完全に白一色に染められた。
今私がなんとか立っていられるのはカイの手のぬくもりがあるから。
怖くて脚が震えるけれど、カイの手を強く握りしめて耐えた。
カイも不安なのか手をにぎり返してくれる。
どのくらいたったのか、次第に視界が開けてきた。
白しか見えなかったけど、雪だるまの輪郭もようやく見えてきたと思った時だった。
「いいよ。あそうぼう。」
幼い少女の声が聞こえてきた。
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