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わたしはただ・・・
ゆきんこさんは透けるような白い肌。黒い髪に二重でうるんだ大きな瞳。
愛らしい少女だった。
「大切な人に会わせてもらったら、一番大事なものをあげないといけないんだよね?
会いたい人はいないから、私からカイを奪わないで!」
私はゆきんこさんを睨みつけながら叫んだ。
こんなことを言ってもきっと動揺させることはできないだろうと思っていたのに、予想に反して、ゆきんこさんは泣きそうな顔をして答えた。
「わたしはおねえちゃんとおにいちゃんと遊んでほしいだけなの。なにもとらないよ?」
「うそ!マキちゃんが言っていたよ、一番大事なものをあげないと、何か悪いことが起こるんでしょう?」
ゆきんこさんはびくっと体を震わせると、
はらはら涙をこぼしはじめた。
「とらないよ、わたしは、ただ・・・遊びたかっただけなの。
ずっとねむっていたから、寂しかったの。
お友達がほしかっただけだもん、他には何もいらないもん。」
私は負けまいとさらに言葉を続けようとしたが、カイに片手で口を塞がれてしまった。
「本当に、遊んでやったら何も取らないんだな?約束できるか?」
突然な一言に私は驚きのあまり固まってしまった。「じゃあ、一緒に遊ぶか、お前は何がしたい?雪合戦か?それともソリ・・・は持ってないから無理か。」
「カイ!本気なの?お化けの言うことなんて信じたらだめだよ。」
「なな、落ち着け、俺はあの子が嘘ついてるように見えないんだよな、なんていうか、ななが小さい時に俺にお願いしてる時に似ててさ、単なる感だけど。だから、あの子じゃなくて、俺を信じてくれ。」
いつになく真剣な顔。私は黙ってうなずくしかなかった。
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