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ふたたびの吹雪
「三十四、三十五。よし、うさぎは完成したぞ。」
「おにいちゃん、ゆきだるまもできたよ」
「目と耳もかざりおわったあ」
私たち三人は協力して35羽のゆきうさぎと、小さなゆきだるまを作り、
綺麗に整列させた。
小さいものも並ぶとかなり壮観で、
まるでうさぎの学校のような出来ばえだった。
「ああ~たのしかったあ。おねえちゃん、おにいちゃん、ありがとう。」
「結構時間かかっちゃったな。なな、時計今何時・・・」
「ええっとね・・・あれ?」
私とカイは同時に気が付いた。
私たちの時計も、学校の時計も、
午前3時33分のまま止まっていたのだ。
「うそ、あんなに遊んだのに、時間が進んでない。
私たち、閉じ込められたの?」
私はパニックになりながら半泣きで叫んだ。
カイもわずかに動揺していたのだが、私が泣きそうなのをみると、
大きく深呼吸をして頬を叩いて気持ちを落ち着けていた。
「ゆきんこさん、お前の望みとおり、遊んでやったのに、ここから出さないつもりなのか?
それじゃあ約束と違うじゃないか。」
「おねえちゃんおにいちゃん。大丈夫だよ。もうすぐ動き出すの。」
ゆきんこさんは微笑んでいた。
「すっごくたのしかった。おねえちゃんとおにいちゃんの大事な時間をもらえたから。私きっと大丈夫だよ。
きっとまた会えると思うの。その時まで手袋借りててもいいかな?」
ゆきんこさんはよほどカイの手袋が気に入ったのだろう。
手に付けた手袋を胸の前で抱きしめるようにしてカイをじっと見つめていた。
「わかった。それはお前にやるから、俺たちをもとの世界に戻してくれ。」
「おにいちゃんありがとう。かみさまがね、もうすぐ動き出すよって言ってる。
おねえちゃんもありがとう。また、きっとあえるよ。
さようなら。」
突然の突風と吹雪。私たちはまた白い世界にほおりこまれてしまった。
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