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「青柳さん、このシリーズの6粒入って在庫まだありますか?」 「青柳さん、クレジットカードのサイン貰い忘れちゃったんですけどどうすれば」 「青柳さん、熨斗の種類がわからなくて」 「あお」 いや、ちょっと待ってよ。 「片倉さんすみません、店長に戻って来て貰えるよう電話してもらっていいですか」 彼女が休憩に出たのを見計らったかのように混み合う店内はさながら戦場だ。 死兵が出ない内に学生バイトの一人に連絡を頼むも、特に会話をする様子もなく受話器を下ろしてしまった。 「暫く鳴らしたんですけど、繋がらなくて」 「…仕方ない、もうちょっと頑張ろう。分からないことは全部私に回して下さい」 会話をする間にもカウンターを囲むように列が延びていく。集合し始める眉間の皺を散らしてから、私は無理矢理笑顔を作った。
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