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「戻りました」
全てが落ち着いた頃に店頭に戻ってきた彼女に、私は不満の色を抑え込みながら近付く。
「店長、すみません。一度片倉さんに電話してもらったんですけど」
「あ、ごめんなさい。私休憩中は電話に出ないの」
「え?」
は?
「だって、休憩中だからそれは自分の時間でしょう?何かあったの?」
「…いえ、大丈夫です」
無理だ。
この人は根本的に、違うんだ。
そう判断した私の脳は会話を拒否した。
これ以上疲れたくなかったから。
その後何を話したかも覚えていないが、もう一人の私も呆れてしまったのか。
いつものように頭上で声を上げることはなかった。
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