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「じゃあ、あれは気のせいじゃなかったってこと?」
『えー? それはわかんないよ。その場は暗かったし、偶然のタイミングが重なってそう感じただけっていうのは否定できない。人の感覚は「そんな気がする」で左右されるし。プラシーボ効果ってあるじゃん。本当は熱湯じゃないのに、熱湯だって思いこまされた水をかけると火傷が出来るってやつ。人間の脳は案外簡単に騙されるからさ、こんなこといってると何も信用できないけど』
「それどこで覚えたんだ?」
『さっき漫画で読んだ』
随分と信憑性が薄くなった。
『ま、でも気になるのは「社」ってとこかな』
「社ぉ?」
『多々家くんもいってたじゃん。なんでそんな所にあるんだろうって』
僕はあの社を思い浮かべていた。あの木で作られた小さな社、にぎやかな場所にぽつんと残された、異様な社。
『社ってさぁ。何の為にあると思う?』
「何の為って……そりゃあ神様を祀る為に決まってるでしょ」
『そうです正解~! 神様を祀る為、じゃあその神様ってなに』
僕は答えられない。
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