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『ふーん、じゃあ完全に忘れさられた社ってとこか。なんかかわいそ』
ふんふんと、言ってあいりは欠伸をした。そろそろ眠いらしい。そういえば割と長い時間電話してしまった。忘れていたが向こうは高校生だ。
「ごめん。もう眠いよな、切るよ」
『ふえーい。また面白いことに巻き込まれたら言ってねー。あ』
あいりの言葉が止まる。
『今度そういうことがあったら振り返っちゃ駄目だよー、っていうか何かしらの反応返しちゃアウト。そういうのって気が付いてくれる人を気に入るから。神様に気に入られると厄介だよ。んじゃまぁ、おやすみー』
電話が切れた。聞きなれたツーツーツーという音。
僕は、あの時、振り返った。
窓の外を見ると月が出ていた。慌ててカーテンを閉め、大きく息を吐く。
気のせいだ。こんなに動機が早いのはあいりの話を聞いたせいだ。そうだプラシーボ、気にしているから怖くなるのだ。
でも、あの感触はなんだったんだ。
裾を引かれるような感触は。
僕は何に引っ張られそうになった?
次の日から僕は帰り道を変えた。馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれないが、あの社がある公園を通りたくなくなったのだ。
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