2章

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そして俺は、とてもずるい事をする。 「蒼ごめん!」 「別にいいよ~。今更俺も入れてって言いづらいし、きっと姫川さんも仲の良い直と二人の方がリラックスして楽しめるっしょ。」 …本当にこいつは良いやつだよ…。嫌な顔一つしやしない。それに比べて俺はまるでダメすぎる。親友を助けるふりをしてまんまと美味しいところを全てかっさらったのだから。 でも俺は、俺と二人で回ると思ってとった姫川さんの反応が、正直めちゃくちゃ嬉しかったのだ。これは期待してもいいのかな…?いや、ダメだ。期待しすぎると後でとんでもないしっぺ返しを食らうなんて人生あるあるだからな。ここは謙虚に行くぜ。30分おきに蒼ごめんって謝っとこ。 「姫川さんと回れない可哀想な俺とも回れよな。」 「回る回る回りまくる。」 心配だった蒼の反応も思いの外大丈夫だったので、俺は文字通り舞い上がっていた。 この時の俺は、 人の気持ちを推し量るにはあまりに 幼くて、拙くて 何も分かっていなかった。 それが相手を傷つけていることにも。
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