3章

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蒼を傷つけてしまった、気がする。 蒼に姫川さんとはちゃんと二人で回れよ、と後押しをしてもらったのでそこはしっかり受け入れるけど。 少し気分が沈むな……… と、思っていた数分前の自分は一体どこに行ったのだろう? 教室の前で俺を待っているメイド服姫川さんを見た瞬間に負の感情が全てログアウトしてしまった。 可愛い。 それだけが頭を支配し、シナプスが働き海馬にインプットした。 「メイド服のまんまでごめん…。宣伝してこいって、言われちゃった。」 そう言って彼女は申し訳なさそうに、照れくさそうに笑う。 全然いいよぉ~!!むしろドキドキ1000%!ご褒美です!! 「全然いいよ。」 声に出たのは思っていることの1割にすぎなかったが、さすがに全部声に出すと姫川さんの気持ち悪い人リストに殿堂入りしそうなのでやめておこう。 「じゃあ行こ。」 「うん。」 もうすぐで文化祭が終わる時間、人が少なくなってきた校舎をメイド服を着た彼女が歩く。フワフワでキラキラだ。 メイド服なんてなんの関係もないのに、そんな彼女を見ていたら なんとなく出会った日のことを思い出していた。
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