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「そ、蒼…?」
ドクン、ドクン。
心臓が鳴る。蒼が怒ったのだ。
声を荒らげたところは初めて見た。本気で怒っている。こんなに感情的になるなんて、俺は一体何をしてしまったのだろうか。
「違う……違う…けど…ごめん……大声だした。何でもない。」
蒼の声は震えている。
何でもないわけないだろ…。一体蒼はどうしたというんだろう。あまりにも不安定で、怖い、蒼という人が溶けてなくなってしまいそうだ。
「何が違うんだよ。俺何言われても大丈夫だから、言ってくれ。」
「……それは………。…。」
モヤモヤ。霧がかる。
何かがズレている。なにか根本的なところから。
どこから?最初から?何が?
「直。」
「なに?」
「俺が今から言うことを直が聞いたら、俺たちは絶交する。」
蒼がゆっくりと俺に視線を送る。蒼から強い意志を感じた。
目を見開き固まる俺を他所に、ふっと笑う。
「それでも聞く?」
「俺は…………。」
選択を迫られ、どちらが本当に正しい選択になるのか、俺は分からなかった。ただ、俺にとって、蒼にとって、絶対に聞いてはいけないものだということは分かった。
でも
それでも俺は
「聞きたい。俺は蒼の気持ちが知りたい。」
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