3章

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蒼は暫く俯いたあと、なにか決心したように呟く。 「ここ、座って。」 蒼が座っていた席と向かいあわせの席を指さす。 俺はゆっくりと腰掛ける。 向かい合わせになり、互いに目を合わせる。 「直。俺、お前と友達でよかった。」 「は?何言ってんだよ。これからもだろ。」 絶交なんて冗談だよな?蒼の考えすぎだろ。大丈夫。これを聞いても俺たちは親友のままだ。 蒼は悲しそうに笑う。何がそんなにダメなんだよ。なんで諦めたように笑うんだよ。 蒼は口を開いた。重い口を、開いた。 「俺は、直のことが好きです。」 これを聞いても俺たちの関係は壊れない、 俺のおごりが、俺の最低な自信が、 蒼のずっと隠していた箱に手をかけさせた。
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