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朝日がカーテンの隙間から零れて顔を照らし、望んでもない朝が来たことを知る。
「学校…行きたくない。」
ポツリと口から出てきた言葉。
それによって昨日の記憶がフラッシュバックする。
「直のことが好きです。」
俺は昨日、幼馴染であり親友である男に告白されたのだ。
茶化して逃げるやり方もあったけど、あんな風に追い詰められた蒼を目の前に、「冗談だろ?」なんて、言えるはずがなかった。
「………。」
「………。」
長い沈黙。
沈黙は本来俺にとって楽な時間だった。無言で漫画を読んで、聞いてほしいことがあったら喋る、そんな緩い空間が俺は好きだった。
この沈黙は、今までの時間の中で1番辛い。
心臓はバクバクと音を立て血液を回すのに、頭は何も考えられない。
自分が今どういう感情なのかも理解できない。
でも、それでも何か言わなきゃ。
沈黙が怖い。何か言わなきゃ俺たちの友情が壊れてしまう。
「俺は…」
「何も言わなくて良いよ。」
俺の心を見透かすように、言葉を遮る。
少し俯きがちに
「俺のわがままで直の邪魔してごめん。姫川さんとのこと応援してる。本当に。
…頑張れよ!」
そう言って笑った蒼が、あまりにも綺麗で、
俺はやっぱり、何も言えなかった。
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