4章

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「笹原くん」 その時、ガラス玉の瞳が俺を映した。 透き通った声が鼓膜を震わす。 俺は興奮を抑えつつ軽く手を振った。(かっこつけすぎて泣ける) 「姫川さんもこの電車?」 「私は反対だよ。笹原くんはいつも見かけないけど、普段は時間違うの?」 反対か~~!くそ~~、一緒に帰るフラグポッキリだよ!! 「うん、今日部活が早く終わったからこの時間になったんだ。いつもは7時くらいの電車かな」 「え、結構遅いんだね。遅くまでお疲れ様」 にこやかに俺を労わってくれる姫川さん。 え~~~、好き、、妻じゃん、まじで妻じゃん……。 「姫川さんは部活入ってないんだっけ?」 横からひょっこり顔を出す友人。 おい!今完全に2人の世界だったろ!?お前空気読めお前~~!!! 「うん。入ってないよ」 「塾とか?」 「そうだよ。これから行くとこ」 「偉いな~~、頑張って!」 「ありがとう」 ガッツポーズを作る友人に笑顔でお礼を言う姿が可愛すぎる…。 姫川さんはこの半年間で男子から絶大な人気を得て話しかけられるようになってしまった。…まあ、姫川さんの魅力を文化祭まで隠し通せたことが奇跡に近い。美女美男コンテストにエントリーされてたら間違いなく優勝レベルなのだ。(エントリーされるのは3年生が中心だから1年生が入ることはまずない。) 姫川さんの魅力が知られることはとても嬉しいけどライバルが一気に増えてしまい姫川さんも男子達に段々と心を開きよく話すようになっている。とても焦っている。 でも、焦りで告白するのは違う気がする。 俺は姫川さんが好きだけど、蒼も好きだ。 好きの種類は違うとしても、大きさは同じだ。2人とも大好きなんだ。 だからこそ中途半端な気持ちで蒼にも姫川さんにも向き合いたくない。 姫川さんに振られるとしても真剣に向き合って振られたい。(勿論上手くことを願ってるけどね!!) 蒼とも…真剣に、向き合いたいんだ。
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